僕は中学生の頃、今で言う厨二病まっさかりだった。
特に妄想が酷くて授業中にふと窓の外の空を眺めては
「(おいで…さぁ僕をこの退屈な牢獄から連れ出してくれ)」
と、大きな鳥が授業中に突然教室のベランダへ僕を迎えにくる妄想をしたり
こんな剣のキーホルダーを持ってハァァァァァァー!!!と顔を真っ赤にしながら隠されたチカラが覚醒する練習をしたり
夜空を見上げては
「俺がいなくなった組織は今頃大変だろうな…」
とありもしない組織を抜けたエージェントの妄想をしたり
こんな感じで屋根の上で寝たり
こんな感じで窓際に座ったり
それはもう色々痛い子だった。
他にもここに書くことすら恥ずかしくてできない黒歴史がわんさかある。
そんな厨二病全開の子ども時代にふと古墳を見に行こうを思ったことがあった。
実は地元の山にある神社の本殿の裏には細い獣道があり、その獣道をずっと登って行くと小さな古墳があるのだ。
なぜか僕はそこで祈りを捧げれば封印されし闇のチカラが宿ると思い、古墳に行くことにした。
闇のチカラなので夜に行くのが雰囲気的にベストなんだけど、夜に出かけると親に怒られるので夕方に行くことにした。
色々考えているうちに時間も経ち夕方になったので、愛用の逆十字架のネックレスをつけて家を出た。
夕焼けに照らされた神秘的な神社を通り抜け、奥の獣道に向かう。
獣道も通り抜けどんどん登っていき、少し開けた場所に出るとそこには小さな古墳があった。
そこで僕はしばらく祈りを捧げていた。
祈りを捧げだしてから30分くらいたち、あたりも暗くなってきた頃、
「◯◯くーん」
(えっ!)
後ろから名前を呼ばれた。
こんな所にわざわざ僕を知ってる人が来るわけがない。
そう思って振り向くとそこにはいつもは仕事でまだ家に帰っていないはずのお母さんがいた。
「◯◯くん、ここでなにしてるの?」
突然のことに頭は混乱していたが、まさか闇のチカラを授かりにきたと言えるわけもなく
「ちょっと探検してたら迷子になった」
と苦し紛れの言い訳をひねり出した。
「ふーん?。。でもここはもうすぐ暗くなるし、かえれなくなると困るだろうからお母さんとかえろうね〜」
と、半ば強引に手を掴まれ来た獣道を戻りだした。
(なんかいつもと話し方違うなぁ…)
と思ったが、ここにいたことを怒られるのが嫌でずっと黙ってついて行った。
そしてそのまま獣道を抜けて神社まで戻り家に帰ってきた。
絶対に怒られると思い身構えていたが、そんなこともなく
「ご飯まだだから2階に上がって宿題でもしててね~」
と言われた。
怒られなくてよかった~と思い素直に2階に上がって宿題をしていると、車が帰ってくる音がしてお母さんが帰ってきた。
「(えっ、さっき帰ってきたとこなのになんでまた帰ってきたの)」
突然のことにびっくりして
「さっき一緒に帰ってきたのになんでまた帰ってきたの?」
と聞くと
「なに言うとるん。今仕事終わって帰ってきたとこよ?」
「(じゃあさっきのお母さん誰なの)」
と聞きたかったが、これ以上聞くのが怖くなったのでもう聞かないことにした。
別に幽霊がでたとかそういうのじゃないけど、今でもたまに思い出す昔の話。
・・・なんだけど、昔すぎて記憶も曖昧だから一緒に帰ってきたのは違う人だったのかもしれない。
ちなみに成人した時くらいに昔こんなことなかった??って親に聞いてみたけど、
「そんなん知らんよ」
と言われた。
なんだったんだろう。